アテになりません(何
前回の続き。
※以下の内容は、実際に厳密な測定を行ったりしない、言わば「感覚」や「経験」に基づくものです。
何故なら、「そんな厳密な計測を行う時間はない」ためです。
時間費用対効果(タイムコストパフォーマンス)を重視した内容であることを先にご理解ください。
また、下記内容に関して弊社はいかなる責任も負わず、サポートも行いません。
ツールだけに頼っていては、不安です。
数字というのは基準として非常に役立ちますが、その数字自体が間違っていたら?
正確に計測できなければ、数字はむしろ不安材料にもなりえます。
というわけで、もう一つの計測方法、触診に関してさらに2つに分けてご紹介します。
- 発熱箇所(パーツそのもの)を触る
- 発熱箇所付近の空気に触れる
前者の発熱箇所を触る場合特に気を付けなければいけないのは、「現在の温度予想」と「触る場所」です。
今このパーツはどれくらい熱くなっているのか、ある程度予想して触らないと火傷します。mjd。
まずは後者の発熱箇所の空気に触れてみて、予想しましょう(この辺は経験でしょうか;)
ただ、個体温度計のところでも書きましたが、同じCPUファンでも、触る個所で温度は結構違ってきます。
ヒートシンクは温度が分散されているところですので、そこを基準にする(他の部分を触れそうかどうか)のも手だと思います。
ざっくばらんにですが、触診した場合の温度は以下の通りです。
【発熱箇所(パーツそのもの)】
- 無機質な(金属の)冷たさを感じる:~30℃
- 人並みもしくは熱を出した時くらいのじんわりとした温かさ:30~40℃
- あ、これは熱を持ってるなーと感じる(触り続けられる):40~45℃
- 一瞬触れただけでも体に熱が残る(触り続けられない):45~50℃
- 熱ッ!(一瞬触れただけで刺すような熱さ):50℃~
【発熱付近の空気(ファンによる風の温度も同様)】
※下記の温度は「発熱付近の気温」ではなく「発熱箇所の推定温度」
- 外気温と同じくらいかそれ以下:~30℃
- 外気温と同じ…イヤ、それよりも温かいか…?:30~40℃
- じんわりとした温かさ:40~60℃
- これは暖房の吹き出し口ですか?:60℃~
「付近」と言っても、空気の流れがある箇所かそうでない箇所か、空気の流れがある箇所だとしたら、発熱箇所からどれくらい離れているか、ファンの真後ろか離れたところか…等、その場所次第でデバイスの推定温度は変わりますからねぇ…。
それなら、その空気の温度を基準にすれば良いのですが、結局空気の温度は「デバイスがどれくらい熱を持っているかの指針」ですからね。
ここだけ「デバイスの推定温度」ということでややこしくなってしまうかもしれませんが、その辺は脳内補完で納得してください。
また、個体温度計のところで「室温計はあまり意味がない…というわけでもない」と書きましたが、これは筐体内の空気の温度や、排気される温度と比較する上で、一つの指針になります。
なんだかんだで、いくら室内で冷房や暖房が利いていても、日本は春夏秋冬のある国。
時期によって気温が変わるため、筐体内の温度はあくまで筐体外部の気温と比較して、差がどれくらいあるかが重要になります。
真夏のクーラーが利かない部屋、油が飛び交う厨房・工場、他の機器による熱の影響が大きい組込筐体内等、どのような環境で使われているかわかりません。
結局、PC自体が熱を持ってしまうような環境であれば、外気温と比べて云々というのに意味はなくなりますが、例えば気温35℃の環境で使うPCと気温25℃の環境で使うPCの温度が一緒だった場合、後者の方が熱を持っている…というのは、考えればわかることだと思います。
で、モニタリングはいいとして、計測した温度をどう判断するか。
この基準がしっかりしていないと、せっかくの計測も全く意味を成しません。
弊社では、ざっくばらんに以下のように判断しております。
- ~30℃:冷えすぎです。むしろ危険。
- 30~45℃:普通です。無負荷時の基準。
- 45~60℃:無負荷時だと要注意。負荷時にこれくらいなら余裕。
- 60~80℃:無負荷時ならNG。負荷時ならギリOK。
- 80~85℃:誤差の可能性を考慮しても、負荷時の限界。
- 85℃~:完全にNG
しかし、それが前回お話した「寿命を縮める」「動作を不安定にさせる」ことに結びつきますので、安定動作をさせることを考慮すると、やはり85℃が限界です。
余裕を見て「負荷をかけて60℃」ぐらいが目途ですね。
もちろん、そのためには冷却をかなりしっかりしなければいけない=音がうるさくなるので、その辺はバランスを見て、ということで。
限界を超えると、オーバーヒートしてシャットダウンorリスタートorブラックアウトしてしまいます。
ちなみに、マザーボードが感知する温度で、危険帯域に入るとアラームを鳴らすシステムもあります。
~30℃のところの「むしろ危険」というのは冗談半分ですが、モニタリングツールでそういう風に出たのであれば、「よっぽどの冷却ができているか、外気温が低いか、そうでなければ誤検知」ということです。
つまり、その数字はアテになりません。
筐体内部が相当冷えているか、筐体外部の気温が低いのであれば良いのですが、動作しているデバイスが筐体外部の気温よりも低いということは、基本的にありえません。
熱くなっているのにそれを検知できない…というのはあまり考えられませんが、ご注意ください。
もっと現実的な話は、触診で~30℃だった場合。
特にCPUのヒートシンクを触ってそうだった場合は、CPUの面にちゃんと接していない可能性があります。
~30℃でなくとも、「ヒートシンクは比較的冷えてる方なのに、CPUの温度が60℃以上」の場合、この可能性を疑った方が良いです。
CPUの面にちゃんと接していないと、ヒートシンクに熱が伝わりません。
イコールCPU自体はかなり発熱しますので、それだけで熱暴走できます。
ヒートシンクを触って「おー、冷えてる冷えてる」という場合はご注意を。
不安な場合は、一度CPUファンを外してみて、グリス・熱伝導シートが熱で溶けてるかどうかを確認していただければわかります。
均一に溶けていれば問題ありません。
プッシュピンタイプのCPUファンは意外とありがちな話ですので、他人事じゃありませんよ!
というわけで、次回はこれらの基準をもとにどう対策するか。
やっと本題ですねwww
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