2010年10月21日木曜日

熱対策のお話 4

前回のあらすじ。

むしろ危険。

前回の続き。

※以下の内容は、実際に厳密な測定を行ったりしない、言わば「感覚」や「経験」に基づくものです。
 何故なら、「そんな厳密な計測を行う時間はない」ためです。
 時間費用対効果(タイムコストパフォーマンス)を重視した内容であることを先にご理解ください。
 また、下記内容に関して弊社はいかなる責任も負わず、サポートも行いません


3.【原因】問題になるくらい温度が高い理由。


発熱している箇所、問題となるくらい温度が高くなっている箇所がわかったら、次はその原因です。
発熱してるからだよ」ではなくてw
発熱してるから温度が高くなるのは当然ですが、キチンと冷却されていれば、問題になるくらい温度が高くなるはずがありません。
要するに、「キチンと冷却されていない原因」ですね。

だいたい、原因は大きく4つに分けられます。
  • 発熱箇所の冷却能力が低い
  • 空気の流入量が少ない
  • 空気の排気量が少ない
  • 空気の流れがない(熱だまりがある)
前回お話した、CPUがヒートシンクにちゃんと接していないというのも原因の一つと言えば一つですが、PC全体を見た時の熱対策とは別次元ですので、省いています。



発熱箇所の冷却能力が低いという点に関しては、ツールを使うなり触診するなりで、デバイスの温度が高くなっているかを見て判断します。

最近のIntel CPUのリテールファンは、ヒートシンクが薄くなり、冷却能力に疑問を抱かざるを得ません。
特に、Core i7(Lynnfield, Bloomfield, Gulftown)はHTがONになっていると、全スレッドに100%の負荷が加わると、正直リテールでは対応しきれません。
ここでいう「対応しきれない」というのは、動かない(オーバーヒートする)というレベルではなく、温度が危険値まで高くなる=寿命が短くなるという意味です。
筐体内に埃がたまってきたら、一気にオーバーヒートしますね。

弊社では、Core i7の場合、必ずCPUファンを変更するようにしています。
基本的な考え方は、ヒートシンクが大きく、リテールファンより大きいサイズor回転数が高いファンが搭載できる製品です。
ただし、筐体サイズによって搭載できるCPUファンに制限がありますので、ご注意ください。
また、無暗矢鱈にデカいヒートシンクもありますが、世の中には「コストパフォーマンス」「メーカーの品質」という基準もあります。
ヒートシンクが大きい=放熱部分が多いというのは確かに冷却能力が高いように思えますが、それだけではなく、CPUの熱をその放熱板にどれだけ伝えられるか(熱伝導率)を考えた構造の製品を選ぶ必要があります。
無駄にデカいヒートシンクは、放熱部分が大きいために、その先端までに熱を伝えきれない=無駄な造りになっており、さらに部品代だけはかさむため、無駄に高価な製品もあります。

ファンは、回転数が同じであれば、サイズが大きい方が冷却能力が高まります。
逆に言えば、サイズが大きければ、回転数は低くてもサイズが小さいのと同じくらいの冷却能力を有するということになります。
これを利用し、静音加工の際は、ヒートシンクとファンのサイズが大きい製品を搭載し、回転を落とすことにより、冷却能力と静音性を保ちます。


HDDに関しては、基盤の裏側が放熱板になっていますので、それ自体に風を当てるのが効率的です。
ただ、HDD 1台だけの時にファンを搭載するのは、ファンの音量が増えるため、静音性を考慮する方には効率的ではありません。
もちろん、1台だけと言ってもHDDが発熱することに違いはありませんので、風を当てること自体は全く無駄ではなく、音量を気にしないのであれば、そうした方がHDDにとって良いのは言うまでもありません。
弊社では、複数のHDD間の隙間が狭い場合(並列して搭載する場合)や、筐体サイズそのものが小さく、空気の流れがあまりない場合に、HDDの熱対策をするようにしています。


メモリに関しては、特にFB-DIMM時代ですね…。
FB-DIMMにはAMBチップが搭載されており、こいつの発熱がハンパなくて、こういった事例の時に苦労しました…;
DDR3全般やDDR2のUnbuffered DIMMはそれほど発熱するものでもありませんが、それでも枚数が重なった時は、気をつける必要があります。
CPUはヒートシンクがあり、ファンがあるのでそれ自体を冷却してくれますが、メモリはヒートシンクを付けたとしても、風を当てる機構を外部に用意しないと、メモリ周辺に熱だまりができてしまう可能性があります。


ビデオカードに関しては、温度に合わせてビデオカードのファンが自動的に回転数を上げたり下げたりするようになっています(CPUファンも、4Pin(PWM)のタイプは、BIOS側で回転数の調整をすることができ、温度に合わせて自動的に回転数を上げ下げするようになっています)。
ただ、それでもビデオカードを複数枚搭載している場合や、ビデオカードでなくともバスにカードを何枚も搭載している場合、熱だまりができてしまう可能性はあります。
そういった場合は、メモリ同様外部に冷却機構を用意する必要があります。

また、ローエンドのビデオカードはファンレスタイプの製品があり、静音性は抜群なのですが、筐体内にある程度空気の流れがあることを前提に作られていますので、ご注意ください。
ヒートシンクがあり、それが大きくても、それに風を当てるなり空気の流れを作るなりしないと、筐体内(ビデオカード付近)に熱だまりができ、放熱板から熱を逃がすことができず、結果としてビデオカードの温度を高めることになってしまいます。


…なんかまた長くなってきましたので、続きはまた次回でwww

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